【住宅ローンを滞納したときに来る期限の利益喪失通知って何?】 

期限の利益というのは、一定の期限が到来するまで支払いをしなくてもよい、という債務者の利益です。 

たとえば、「住宅ローンは総額3000万円だけど、月々8万円、35年支払ってください」という場合、毎月8万円だけ払っていれば、その他の残額は翌月以降の決められた月に支払えばいいということになりますが、これが、「期限の利益」です。 

そのため、「期限の利益喪失通知」というのは、この期限の利益が失われたこと、すなわち先ほどの例でいえば、月々8万円じゃなくて、3000万円全額を一括ですぐに支払ってください、ということになります。 

住宅ローンを滞納して、その滞納が6か月くらいになると、銀行の保証会社から、「期限の利益喪失通知」というのが来ることがほとんどです。 

これは、要するに、債務者が滞納した結果、保証会社が銀行に、残債務を一括で支払ってしまったので、その時点で期限の利益を喪失しますよ、という条項(通常はこのような条項が契約書に必ず入っています)に基づいて、請求してきているということになります。

そうすると、今までは銀行に「支払いちょっとまって」といった相談ができたのが、保証会社ですと、そういった相談ができなくなることがあります。 

したがって、期限の利益を喪失してしまうと、基本的に一括で支払わなければなりませんから、この支払いができなければ、担保にとられている家は抵当権等を実行されて最終的には競売にされてしまうかもしれません。

このような通知が来たときに、債務者としては、家を任意売却してなんとか弁済を行うとか、競売を甘んじて受け入れるとか、あるいは自己破産をすることも考えられます。 

さらに、このような場合に、住宅ローンをもう一度復活させる(期限の利益があった状況に戻す)ために、住宅ローン特則を利用した個人再生を利用する、ということがありえます。 

いずれにせよ、期限の利益喪失通知がきてしまった場合、何らかの手段を講じなければ、住宅ローンの場合は住宅を失う結果となりますので、ぜひ専門家に相談するなど、早めの行動を起こしてください。